2021年7月24日(土)〜 8月7日(土)
2021年8月24日(火)〜 9月4日(土)
開廊時間:12.00-18.00
夏期休廊:8月8日(日)〜 23日(月)
日、月、祝、休
オープニングレセプションはありません。
会期、時間につきましては変更の可能性がございます。あらかじめご了承ください。
2019年7月、弊廊での個展で発表いたしましたオリンピックをテーマにした丹羽良徳の映像作品「想像したはずの共同体」とドローイング作品はじめ、池崎拓也の平面作品、Kesang Lamdarkのポスター作品、9月から個展を予定しております平田尚也の平面と立体、長谷川繁のドローイング、升谷真木子のペンシルドローイングの作品等で構成いたします。何卒よろしくお願いいたします。
丹羽良徳の映像作品「想像したはずの共同体」は、2020年に予定されていた東京オリンピックを背景に、弊廊にて2019年7〜9月の、翌年に予定されていたオリンピック、パラリンピックと同会期に個展にて発表したオリンピック開催を巡るフェイクドキュンタリー作品です。
同作は、戦後64年の東京オリンピックに重ね日本が歩んだ経済成長に重ね経済界からは熱烈に歓迎されたことに立ち戻ります。しかしながら、歴史上の国家的危機や福島の災害による放射能汚染、国際化における移民問題などの経験を経て、もはや日本はかつてのような状況ではないことは明らかです。この作品では、2020年東京オリンピックを舞台として各国のオリンピック選手、監督へのインタビューや1964年に開催された東京オリンピック当時の記録映像、安倍首相の政治演説などオリンピックをめぐる様々な立場や、時代が異なる言説をつなぎ合わせ、2020年東京オリンピックの全種目において、誰もが実際には起こるとは思えない日本人選手のボイコットという設定のフィクションドキュメンタリー映像です。
つい先日までの常識では、映像は真実を写す道具として世界で認識されていたものが、テクノロジーの発達によってあっさり崩されました。しかしながら、人はどこかその映像そのものが真実であると信じたい『欲望』をどこかに感じているのも確かです。今日では、およそあらゆるニュースやメディアに流されるソースや情報が配信者の意思に沿って改変され、捏造され、拡散されつつありますが、あらゆる情報が偽物であると疑わないといけない世界は人を疲弊させるだけです。このようにフェイクニュースがもたらす問題は、現実社会における混乱の発生、権力者による政治利用の他にも、人間が生活を営む上で重要となる「理性」を破壊するのではないかという危惧すら感じつつあります。
映像全体のストーリーと、登場人物の発言内容が相違する状況を創作することによって、我々が予測または欲望している未来像はどのような思想と結びつき、どこから生まれるか、それは自分が希望する未来がそのまま予測する未来像として反映されるものなのかを考えると同時に、我々日本が歩んだ戦後近代史を改めて考え直します。
何卒よろしくお願いいたします。
Satoko Oe Contemporary